オーレックの斜面草刈機「スパイダーモア」の新型が2023年1月に発売されました。法面の草刈り作業において大幅な省力化ができる人気商品の新型ということもあり、注目が集まっています。
そこで今回は旧モデルとの比較を中心にして、新型スパイダーモアの解説をおこなっていきます。ぜひ購入の参考にしてみてください。
- 「斜面の草刈り作業を楽にしたい!」
新規でスパイダーモアの購入を検討している人 - 「そろそろ買い替えようかな?」
旧モデルからの買い替えを検討している人
スパイダーモアとは
スパイダーモアは農業機械メーカーであるオーレックから発売されている斜面専用の草刈機の商品名です。
その便利さから多くの人に利用されており「スパイダーモア」という商品名が斜面専用草刈機の通称となっています。宅配便のことがヤマト運輸の商標である「宅急便」と呼ばれているのに似ていますね。
同じように、刈払機のことを「ビーバー」と呼ぶ農家の人がいます。これも山田機械工業のブランド名称や商品名が広まり、通称となった事例です。
スパイダーモアの特徴
スパイダーモアの大きな特徴は機械本体から伸びた長いハンドルにあります。
作業者はこの長いハンドルを持つことで、傾斜地での移動を最小限にして草刈機の操作をすることができるようになっています。登り下りの移動が減ることにより、疲労度が大幅に軽減され、楽に作業を行うことができます。
スパイダーモアには「リブ」や「ラグ」といわれるような突起物がついた鉄製の車輪が装着されています。この突起物がスパイクの役目をはたし、地面をしっかりと捉えて斜面でも滑り落ちることなく走行することができます。
また、斜面対応の混合燃料4サイクルエンジンにより、傾斜地でもオイルトラブルなく安定した走行をしてくれます。
草刈り作業は機械下部にある回転刃によっておこなわれます。2つのロータリーディスクにそれぞれ4枚、合計8枚の刈刃が取り付けられており、それが高速回転することで雑草を粉砕しながら走行します。
スパイダーモアでの草刈りは手刈りに比べると刈跡が綺麗で、現場の景観を損ないません。
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スパイダーモアの使い方
使い方のポイントとしては「走行するコツ」と「草を刈るコツ」の2点を理解することが重要です。
エンジンをスタートさせて主クラッチを握れば走行が開始します。ギアを変えれば前進後進や変速ができるので、状況に応じた調整を行ってください。変速作業は必ず停止状態で行いましょう。
走行は斜面に対して平行に移動させます。スパイク車輪によって保持はされているものの、斜面で走行すると少しずつ谷側に機械がズレ落ちていきます。それを防ぐために機械の進行方向を少しだけ山側に向けて走行させるのがコツです。
ハンドルは進行方向前側にセットして引っ張るように使えば楽に操作できます。
機械の下部には回転する刈刃がセットされています。この刈刃で雑草を刈っていきますが、刈高さの調整が大きなポイントです。
刈高さを低くした方が仕上がりが綺麗ですが、小石や土を削ったりしてしまうので刈刃の消耗や機械への負担につながります。ですから刈高さはできるだけ高い位置にセッティングしましょう。
スパイダーモアの製造メーカー
「スパイダーモア」を製造しているメーカーは福岡県にある株式会社オーレックという会社となります。オーレックは他社へのOEM供給もおこなっており、共立やイセキアグリなどからデザイン違いの同一モデルが販売されています。
オーレックは斜面草刈機の他にも二面畦草刈機やハンマーナイフモア、乗用草刈機などの草刈りに関連する商品を中心に製造しており「草刈機をオーレック製品で揃える」というファンも存在するほどの人気メーカーです。
一方、スパイダーモアと対比されるのがクボタの法面草刈機「カルマックス」です。この商品はクボタが販売していますが、山形県にある斎藤農機というメーカーが製造しており、他にも丸山製作所から同一製品が販売されています。
いわゆる斜面草刈機と呼ばれる機械はオーレックと斎藤農機の2社しか製造していません。草刈り作業の方法は基本的に同じですが、機械の設計構造に違いがあります。
「どちらのメーカーが優れている?」と比較されることが多いですが、甲乙つけ難く、筆者の感想では「同程度の性能」という印象です。
しかしカルマックスは基本的にはクボタの販売店でしか取り扱いをしていません。スパイダーモアはクボタを含む様々な店舗で販売されているので、購入のしやすさはスパイダーモアに軍配が上がります。
スパイダーモアの選び方
スパイダーモアを選ぶ際には以下の3点を考慮するようにしましょう。
- ハンドルの長さ
- 機械のパワー
- 刈幅の広さ
ハンドルの長さ
斜面で使用する際に重要なポイントがハンドルの長さです。ハンドルが斜面の高さに対して短すぎると、対応できない谷側の雑草が残ってしまいます。斜面の高さに応じたハンドル長を確保しましょう。
ただし、ハンドルが長くなると重量が重くなり取り回しが悪くなります。長ければ良いというものではないので、現場の状況と体力を考慮して選んでください。
機械のパワー
雑草の密度が高かったり、草丈が長い場合は機械にパワーが求められます。パワーが弱いと作業中にエンジンの停止が頻発して作業効率が悪くなってしまいます。そのような場所では、エンジン排気量の高いモデルを選びましょう。
排気量の高いエンジンは重量も重たくなります。操作感の良い軽量モデルを選ぶならば、雑草が生い茂る前に定期的に刈り取り作業を行うようにしてください。
刈幅の広さ
作業効率を大きく左右するのが刈幅となります。例えば刈幅300mmのものと刈幅500mmの機械を比較してみましょう。時速1kmで走行しながら草を刈っていくとした場合、1時間あたりの作業面積は200㎡もの差がでます。これはテニスコート1枚分にあたる面積なので、相当な差になることがわかります。
水田の畦畔などの幅が狭い斜面の場合は、小さい機械の方が有利な場合もあります。使用する場所に合う最大幅の機械を選ぶようにしてください。
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スパイダーモアの価格
農業機械の価格はエンジンの出力が上がると高額になる傾向があり、スパイダーモアも同様です。スパイダーモアには3機種のラインナップがあり、下位機種と上位機種では10万円以上の価格差があります。
値段が上がるほど高性能である点は間違いありませんが、使いやすいかどうかは別問題。自分の体力や現場に合わせた適切なスペックを選ぶことが大切です。
型式 | 刈幅 | 小売価格 |
---|---|---|
SP301A | 300mm | 184,800円 |
SP431F | 430mm | 261,800円 |
SP803 | 500mm | 305,800円 |
スパイダーモアの口コミ評価
SNSをみると高評価の口コミが多く「楽になった!」という声が多くあります。作業効率だけでなく、刈ったあとの仕上がり状態も綺麗なのがおすすめポイントです。
スパイダーモアの欠点
スパイダーモアは斜面を安定して走行させるために、小型で軽量になるように設計されています。小さなエンジンを搭載していることもあり、背の高い草や雑草の密集地ではパワー負けしてしまいエンジンがストップしてしまうことがあります。
また機械の最低地上高が低いので、凹凸があったり、地面が柔らかい場所を走行すると刈刃の回転部が地面を擦ってしまい、走行できないことも。
雑草の状態や路面の状態への対応力が低いことがスパイダーモアの欠点ですが、刈払機などを併用することにより、その欠点を補い効率の良い草刈り作業ができるでしょう。
オーレック新型スパイダーモア!欠点は改良された?
2023年1月にオーレックの新型スパイダーモア「SP853」が発売されました。同時期にOEM製品である共立「AZ853」も発売となっています。一見すると「何が変わったの?」とわかり難いですが、新型は旧モデルの欠点を改良する機構が盛り込まれています。
旧モデル「SP852AF」との比較をしながら特徴を説明していきます。
タイヤ径が大きくなり走行が安定
旧モデルのタイヤ径がφ200mmであるのに対して新型SP853はφ230mmで15%もサイズがアップしています。設置面が大きくなり機体が安定するだけでなく溝や穴にはまりにくくなりました。
ワイヤーの調整で高刈が可能に
旧モデルの刈高さの範囲は35mmから70mmまででした。新型SP853はワイヤーの調整により刈高さを最大100mmまで変更することが可能になっています。刈高さが高くなることによって、凹凸への対応力や草詰まりによるエンストトラブルも軽減され、旧モデルの欠点が改良されています。
副変速の追加と車速のアップ
旧モデルの最高車速は前進で時速2.25kmであったのに対して、新型SP853では2.61kmにスピードアップしています。数値だけみると大したことがない変化のように見えますが、実際に走行させてみると違いがわかります。確実に作業効率が上がるので嬉しい改良点です。また副変速が追加されたことにより、前進2段後進2段だった変速が、前進4段後進4段からスピードを選べるようになりました。状況に合わせた車速で安全に作業をすることができます。
新型スパイダーモアは旧モデルの欠点が解消されるように設計されています。作業効率も上がるので、SP850、SP851、SP852といった旧モデルを使っている人はぜひ買い替えの検討をしてみてください。
草刈り管理は業者に依頼する方法も
新型スパイダーモアは旧モデルと比較すると作業能力もアップしており、おすすめの商品です。しかし操作する人の負荷を考慮すると、業者に草刈り作業を依頼したほうが有利な場合があります。
特に夏場の炎天下での作業は熱中症の危険があり、プロに任せるのがおすすめです。管理する場所が広い場合では一部だけを依頼する方法も。草刈り業者のマッチングサービスを使えば見積もり無料で相場を調べることができます。管理している場所の草刈り料金がいくらになるかを調べて、予算の範囲で楽な管理をしてみましょう。
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草刈機を使用した草刈り作業の料金相場は、どの地域でも50㎡あたり8,000円~15,000円ほどとなっています。
刈った後のゴミを回収する費用や作業環境によって別料金が発生する場合があるので、各業者と打ち合わせをしながら確認してください。
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