様々な場所で使用することができる草刈機(刈払機)。複数のメーカーから多種のラインナップが発売されています。
しかし種類が多すぎて、草刈り作業に慣れていない初心者の方は「とりあえずの1台」を選ぶのにも苦労しているのではないでしょうか。
当然、購入を失敗したくないでしょうから、草刈機選びに慎重になるのも理解できます。
草刈機を選ぶのに迷っているお客様に対して、筆者が確認するのは下記の3点です。
- どの程度の時間や頻度で作業をするか
- 刈りたい雑草の高さはどの程度か
- 場所は平面か斜面か
これら3点をおさえることで「使うシーンにマッチした機械」を選ぶことが可能となります。
当記事では初心者の方に向けた「失敗しない草刈機の選び方」について解説していきます。
「失敗した〜!」草刈機の購入で後悔する事例
なんとなくで購入した最初の一台。はじめは気にしていなくとも、使い慣れてきた頃に「失敗したな」と後悔する人も多いはず。草刈機の購入での失敗事例には下記のようなものがあります。
- 思ったよりもうるさい
- 思ったよりも重い
- 思ったよりもパワーが弱い
手軽に使いたいのならば、静穏性と軽さを重視したモデルを。雑草密集地を管理したいのならばパワー性能に優れたモデルを選ぶ必要があります。ただし軽さを重視すればパワーが失われ、パワーを求めると静穏性や軽さを犠牲にすることになります。
本来ならば、場所にあわせた草刈機を何台か保有すれば良いのですが、一台だけの購入に絞りたい人も多いはずです。そんな場合は「草刈機の性能に何を重要視するか」を明確にしておけば、購入における失敗や後悔は減るでしょう。
それを念頭に置きながら、次項からは機械の選び方を解説していきます。
使用時間と作業頻度で草刈機の動力を選ぶ。エンジン式?バッテリー式?
草刈機を選ぶ際にまず検討すべき点が「動力」であり、エンジン式とバッテリー式の2種類が主流となっています。それぞれにメリット・デメリットがありますので理解しておきましょう。
エンジン式の特徴
エンジン式はガソリンや混合ガソリンといった燃料で動きます。
排気量が20ccのクラスで燃料タンクの容量が0.5Lの草刈機であれば、およそ1時間ほどの作業が可能です。
また燃料がなくなっても継ぎ足せば再稼働できるので長時間の使用に向いています。農業や林業、造園会社といったプロユーザーがエンジン式を使うのは広大な敷地を管理しており、除草作業に時間がかかるためでしょう。
少し技術が必要ではありますが、メンテナンスや部品交換をすれば、長年に渡って使用できることも魅力です。
デメリットとしてはエンジン式特有の騒音や振動があることです。
エンジン音は割と遠くまで聞こえます。周囲に住宅地がある場合は使用する時間に注意が必要です。また騒音も振動も作業者の負担になりますので、使用30分ごとに休憩することが推奨されています。
メリット | デメリット |
---|---|
燃料が切れても継ぎ足して使用可能 | 騒音や振動があり 使用に注意が必要 |
バッテリー式の特徴
バッテリー式の草刈機は充電パックを接続し使用します。
動作音は非常に静か。エンジン式に比べると振動も少ないので、楽に使用することができます。早朝に作業する際や近隣への騒音が気になる場合はバッテリー式の草刈機が有利でしょう。
一方でエンジン式に比べ購入金額が高価であること。そして充電残量がなくなった際に現場で充電できないことがデメリットと言えます。
したがって、バッテリー式の草刈機は短時間の使用がメインとなります。機種にもよりますが満充電で20分から30分ほどの稼働時間と想定して作業を行うようにしましょう。
なお、予備の充電パックを複数用意すれば、バッテリー切れによる作業ストップを回避することができます。
メリット | デメリット |
---|---|
騒音や振動が少なく 作業者の負担小 | 高価な充電パックが 複数必要 |
エンジン式とバッテリー式どちらを選ぶか?
現場が広く長時間の使用が考えられる場合はエンジン式がおすすめ
長時間の稼働が必要な場合はエンジン式の草刈機がおすすめです。現場が広いと必然的に長時間の作業が必要となってきます。燃料を継ぎ足してすぐに使えるのは大きな利点だといえます。
またプロユーザーにはメンテナンスをおこない長年にわたり使用している方が多くみられます。燃料を抜いたり部品を交換したりと少し面倒ですが、トータルのランニングコストを考えるならばエンジン式が良いと言えます。
短時間の作業と静穏性を求めるならバッテリー式がおすすめ
短時間の使用ならば負担が少ないバッテリー式の草刈機がおすすめ。
以前はバッテリー式草刈機はライトユーザー向けというイメージもありましたが、最近はバッテリーの性能が格段に上がっておりプロユーザーでも使用する方が増えてきています。
また、エンジン式に比べてメンテナンスが最小限で済むことも魅力的です。
一方でバッテリーの充電回数に寿命があったり、故障した際には電子回路の知識がないと修理が困難なので長年に渡る使用には向いていないことを理解する必要があります。
刈りたい雑草の高さや密集度でパワーを検討。重さも考慮する
草刈りの現場によって雑草の密集度や茎の太さに違いがあり、草刈機に求められるパワーが変わってきます。エンジン式の草刈機の場合は排気量(cc)でパワーが表記されており、バッテリー式の場合は電圧(V)で表現されます。それぞれ数値が大きい方がよりパワーの高いモデルとなります。
利用シーンによるパワーの目安は、庭先や畦(あぜ)などに生えている柔らかい草、足首ほどの草丈の雑草ならば20ccクラス(14.4Vクラス)のパワーで対応することができます。草丈が伸びたり、雑草の茎が太くなってくるとそれ以上のクラスが求められます。
高いパワーの草刈機ならば草丈や草質への対応力も広がりますが、重量が重くなるので体力も考慮しながら選びましょう。
パワークラス | 特徴 |
---|---|
E/G:20cc BATT:14.4V | 背丈の低い柔らかい雑草 超軽量、家庭向け |
E/G:23cc BATT:18V | 背丈の低い普通の雑草 軽量モデル、一般向け |
E/G:26cc BATT:36V | 背丈の高い硬い雑草もOK 汎用モデル、少し重い |
E/G:30cc BATT:40V | 雑草全般、笹や小枝も対応 プロユーザー向け |
草刈り現場は平地か?斜面か?ハンドル形状を選ぶ
同じような商品なのにハンドル部分が違っているものが多数あり、どれを選んでいいのか悩んでしまいます。
実はこれも「どんな場所で使うか」が決まっていれば簡単に選択することができます。
Uハンドルと呼ばれる形状のグリップは両手で草刈機を持ち、体を中心に左右に機械を振ることが容易にできます。平地ならばこのグリップ形状が一番楽で、雑草を効率的に刈ることが可能です。
ループハンドルは草刈機を縦に持つ形となるので斜面への対応が有利となります。
ツーグリップハンドルは非常にシンプルな構造なので細かな作業に適しています。グリップの位置が体から少し遠くなるので、Uハンドルやループハンドルと比べると疲労度は高くなる傾向にあります。
- 平地利用ならば「Uハンドル」がおすすめ
- 斜面利用ならば「ループハンドル」がおすすめ
- 細かな作業ならば「ツーグリップハンドル」がおすすめ
まとめ
下記の3つのポイントをおさえれば、多種ある草刈機の中からの絞り込みが容易になります。
- 動力を選ぶ→使う時間で決める
- パワーを選ぶ→雑草の草丈や草質で決める
- ハンドル形状を選ぶ→使う場所の傾斜で決める
草刈機は最低でも数万円しますので、どれか一台を買うならば慎重になるかと思います。購入における失敗や後悔をしないためにも、使用するシーンをしっかり想定しながら最適の一台を探してみてください。