庭に発生したワカメのような黒いブヨブヨの物体。見た目も悪く感触も不快で「除去したい!」と悩んでいる人は多いかもしれません。
おそらくその物体は「イシクラゲ」です。イシクラゲが増殖してしまうと庭の美観を損ねてしまう為、早々に除去したいものです。
この記事では庭の厄介者であるイシクラゲの特徴や駆除について紹介します。
陸ワカメ?イシクラゲとは?
イシクラゲはネンジュモ属に属する藻類の一種です。地面に根をはる植物とは異なり、細胞核も葉緑体もないバクテリアや細菌に近い分類となります。
外観はワカメやキクラゲといった海藻のような見た目をしており、水を含むと緑に色が変化してブヨブヨとした触感の物体となります。この様子から「陸ワカメ」や「土ワカメ」などとも呼ばれています。
イシクラゲは非常に生命力が強く、暑さ寒さに耐えることができるのが大きな特徴。乾燥した状態では活動を停止し仮死状態となりますが、水を含むと復活し細胞増殖をはじめます。
文献によると87年前の乾燥標本に水を与えると再び増殖を始めたという報告も。(Charles B. Lipman 1941)その生命力もあって亜熱帯地域や南極大陸、北極圏など世界中のどこにでも生息しています。
イシクラゲは食べれるの?
イシクラゲが「陸ワカメ」と呼ばれているのは、外見だけが理由ではなく、ちゃんと食べることができるからなのです。
滋賀県では「姉川クラゲ」、沖縄県では「モーアーサ」と言われて食用にされています。味噌汁や天ぷら、酢の物など、海藻と同じレシピで調理することができます。
毒性はなく、食物繊維やミネラル、タンパク質も豊富なスーパーフードとして研究もされていますが、庭に生えているイシクラゲの場合は除草剤や殺虫剤、虫の死骸や野良猫の糞尿などに汚染されている可能性もあるので、食べない方が無難でしょう。
イシクラゲはなぜ増える?発生と増殖の原因
イシクラゲは条件さえ合致すれば、どんな場所でも発生し増殖することができます。その条件とは次の4つが挙げられます。
原因① 水はけが悪い場所
イシクラゲは水分を含んだブヨブヨの状態で増殖活動を行います。水はけの悪いじめっとした場所は格好の場所。土の水分量が高くなればイシクラゲが発生しやすくなります。
芝生でイシクラゲを多く見ることができるのもこの要因。芝を刈ったあとのカス(サッチ)などが堆積していくと、水はけが悪くなってくるからです。
原因② 光合成ができる場所
いくら水分が多くとも、光合成ができない場所ではイシクラゲは増殖しません。ほどよく日光にあたる場所が発生の条件となります。日差しを遮るものがない平地に発生しやすいのはこのためです。
原因③ 土壌のアルカリ値が高い場所
イシクラゲはアルカリ性の場所を好む性質があります。コンクリートの上で発生しやすいのもPH値が大きく起因しています。雨水が溜まると、セメントに含まれる鉱物が水と反応して水酸化ナトリウムが発生します。この成分は強いアルカリ性であり、イシクラゲ増殖の好条件となるのです。
学校の校庭に石灰をまくことがありますが、これも土壌がアルカリ性に傾く要因となり、イシクラゲが大量発生することがあります。
原因④ 土壌の栄養素が不足している場所
栄養素が不足している土壌では雑草が生えにくい環境となっています。日光を遮る雑草がないのはイシクラゲにとっては好都合。たっぷりと日差しを浴びて光合成を行い増殖していきます。
イシクラゲを放置するとどうなる?
イシクラゲは毒性もなく、放置していても大きな害を生むものではありません。
しかしながら黒いワカメのような物体が庭に点在する様子は、決して見た目に良いものではありません。水を含むとより一層気持ち悪さを増すだけでなく、その上を歩くと滑りやすく、転倒するリスクが高まります。
庭を保有しているならばイシクラゲ対策をおこない、美しい環境を保つべきです。
イシクラゲを駆除する方法
イシクラゲの駆除で最も効果的なのは、物理的に除去する方法です。一つ一つ拾い上げていけば、その数を減らすことができるでしょう。
しかしながら「効率的に駆除したい!」と思われる方もいるはず。一般的な駆除方法としては下記の3つの方法が有効だとされています。
駆除方法① 熱湯をかける
熱湯をかけることでイシクラゲを死滅させ、増殖を防ぐことができます。効果が高い方法ではありますが、熱湯を沸かす時間や、それを運んで撒く労力などを考慮すると、あまり効率的だとは言えません。
加えて熱湯は除草効果もあるので、他の植物に影響を与えてしまう可能性もあります。
駆除方法② クエン酸をまく
クエン酸をまくことで土中のPH値が酸性方向に傾きます。アルカリ性を好むイシクラゲに対して有効な手段で、繁殖を抑えることができます。
市販のクエン酸だけでなく、木酢液やレモン汁など、酸性物質であれば効果を発揮します。粉末や顆粒のクエン酸は水に溶かしてじょうろでイシクラゲに散布します。
駆除方法③ 専用の駆除剤をまく
イシクラゲや苔類に効果のある除草剤が市販されています。これらは専用に作られている駆除剤であるため高い効果が期待できます。
イシクラゲは一般的な除草剤が効きません。そればかりか、除草剤を使用したら庭がイシクラゲだらけになってしまうことも。これは除草剤によって他の雑草が生えなくなり、イシクラゲが繁殖するのに有利な環境になってしまうことが要因です。イシクラゲの除去には専用の駆除剤を使用しましょう。
イシクラゲに効く駆除剤:キレダー
「キレダー」は日本芝や西洋芝を生育している庭でも使用できる除草剤です。主成分である「ACN」がイシクラゲの光合成を阻害することで繁殖を抑える薬剤です。
成分はイシクラゲや苔類に効果を発揮しますが、その他の雑草にはあまり効き目がありません。その特徴から芝に影響を与えることなく、イシクラゲだけを狙い撃ちできるのがキレダーの嬉しいポイントです。
水に溶かして使用する水和剤なので「噴霧器」があれば効率的に散布することができるでしょう。
イシクラゲに効く駆除剤:コケそうじ
「コケそうじ」はイシクラゲや苔類専用の駆除剤です。弱酸性の天然成分であるグレープフルーツ種子抽出物を主原料としており、化学合成物質を含まないので子供やペットのいる家庭でも安心して使用することができます。
範囲が狭い場所ならば、気になるところだけをピンポイントで狙えるスプレータイプがおすすめ。最初から希釈されており、薬剤を水に溶かして用意する手間も省けます。
イシクラゲに効く駆除剤:ラウンドアップALⅡ
ラウンドアップAL IIは通常のラウンドアップの成分に「ペラルゴン酸カリウム塩」「水酸化カリウム」などが追加配合された速攻性重視の除草剤です。
雑草への効果だけでなくイシクラゲにも効果があるのが特徴。水分を蓄えて活性化しているイシクラゲに対して薬剤を散布することで、徐々に変色が進み、やがてイシクラゲの量が減ってきます。
雑草もイシクラゲも一緒に駆除するならば、ラウンドアップALⅡの活用がおすすめです。
イシクラゲの発生を予防する方法
駆除を実施したとしても、環境条件に変化がなければ、イシクラゲが再び発生する可能性があります。予防のためには、根本原因を解消しなければなりません。
芝生に発生するイシクラゲの予防
イシクラゲの発生は「水はけの悪さ」が大きく起因しています。まずは、芝刈り後の刈りカスや枯れて腐った葉などを除去する「サッチング」を定期的におこないましょう。
また、土に穴を開ける「エアレーション」も有効です。通気性と水はけを改善させることで、イシクラゲが発生しにくい環境をつくることができます。
土や構造物に発生するイシクラゲの予防
土やコンクリート、人工構造物の水はけの改善をおこなうためには工事が必要となる場合がほとんど。
DIYでの工事は時間や労力もかかるので、リフォーム業者に依頼するのがおすすめです。業者にイシクラゲの発生と庭の水はけ改善を伝えれば、最適なリフォームプランを提示してくれるはずです。
工事は決して安いものではないため、複数社からの相見積もりの入手をおすすめします。
この機会にオシャレな庭にリフォームしてしまいましょう。
お庭のリフォームで気になるのが費用面。まずは自宅の庭の修繕にいくらかかるのか見積もりをしてみましょう。
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イシクラゲ発生を予防して美しい庭づくりを
整えられた美しい庭は癒しになるだけでなく、来訪したお客様へ好印象を与えます。草ボーボーの荒れた庭や、イシクラゲで黒く染められた庭は見た目に美しくないので、早めに改善しましょう。
草刈り業者やリフォーム業者をうまく活用して、おしゃれな庭づくりを目指してください。