除草作業をしても、すぐに生えてくるしつこい雑草。草刈機を操作しながら「自動でロボットが除草してくれないかな?」と考える人も多いはず。
しかしロボット草刈機はパワーが弱かったり、地面の凹凸や傾斜に対応できなかったり、まだまだ実用化が難しいのが現状です。
そこで注目されているのがヤギによる除草。ロボットではなくヤギに除草作業をお任せするというものです。エコという概念が浸透してきた10年ほど前から各地で取り組みが行われています。
しかし「ヤギに除草を任せて本当に効果があるのか?」と疑問を感じたので、実際にヤギによる除草をおこなっている飼い主さんに取材をおこない、話を聞いてきました。
当記事ではヤギによる除草の実情とメリット・デメリットを解説します。ヤギのレンタルサービスも紹介していますので、雑草管理の目的でヤギのお迎えを検討している人はぜひ参考にしてください。
ヤギ除草とは
通常の草刈り作業は人力もしくは草刈機を使用して行われますが、その代わりに草食動物であるヤギに雑草を食べてもらい除草を行うというのが「ヤギ除草」です。
草刈機のように化石燃料を使わないことや、ゴミの処分が不要なことからヤギ除草は環境にやさしい除草手法だと言われています。
また、ヤギに草刈り作業を任せることで斜面での転落などの危険も回避することができます。
これだけを聞くと優秀な除草方法のように思えますが、ヤギ除草にもメリット・デメリットが存在します。

ヤギ除草の効果は?自治体や団体の実証実験
ヤギによる除草効果についてはいくつかの自治体や団体が実証実験を行なっています。下記に実験の例を紹介します。
- 静岡県浜松市による実験
- 山梨県による実験
- 愛知県美濃加茂市による実験
- 兵庫県立大学による実験
- 三重県名張市の河川事務所による実験
- UR都市機構による実験
特に静岡県浜松市の実験ではヤギ除草の効果について詳しく紹介されています。
それによるとヤギの除草スピードは1日あたり10平方メートル。対して人力で除草作業を行なった場合は平坦地ならば1時間で100平方メートル、傾斜地で1時間あたり20平方メートルという結果となりました。
つまり草刈機を使った人力作業の方が圧倒的に早いという結果です。
ではコスト面ではどうでしょうか。
ヤギは放牧していると脱走してしまうので、首輪でつなぐか柵で囲む必要があります。柵もジャンプして簡単に乗り越えてしまうので電気柵が必要な場合も。
そうなると面積が広がれば広がるほど資材費用がかさみ、結果的には人力作業の方が安価になるという結果となっています。

ヤギによる雑草の除草効果を取材。飼い主に聞いてみた
実際にヤギの飼い主さんに取材を行い「ヤギ除草」についての話を聞いてきました。すると冒頭から「いや〜、役立たずなんですよ…」と衝撃の発言が。
2年前に2頭を購入し、現在は子供も生まれて計3頭が現場で暮らしています。
主に人間が不得意とする急傾斜地を除草エリアに定めて放牧する計画でしたが、柵の設置や放牧管理が大変であるため断念。
近くの果樹園内での除草放牧も検討したそうですが、果樹の葉まで食べてしまうのでNG。結局は飼育小屋近くに紐でつなぎ、周辺の除草作業をするのみとなっています。

肝心の除草効果ですが、各自治体での実証実験の結果と同じような効果でした。ゆっくりと周囲の草を食べていき、1週間で50平方メートルほどが除草されていました。
刈り跡は綺麗ですが、とにかく作業スピードが遅いという印象です。頭数を増やせばスピード面は解消できるかもしれませんが、生体を飼育する上での別の問題がでてきます。
牧場のような広い平地ならば管理が容易かもしれませんが、傾斜地がメインの広い場所では「ヤギ除草」は不向きだと言えるでしょう。

なお、この現場では傾斜地のほとんどは刈払機を使った人力で草刈り作業が行われており、平地は一気に除草作業ができる乗用草刈機の導入を検討されているそうです。


ヤギ除草のメリット
スピードも費用もイマイチだとはいえ、全くメリットがないという訳では有りません。「役立たず」と話した飼い主も笑いながら取材に応じてくれました。
飼われているヤギを見ると毛並みも綺麗で、健康的な体つきをしています。飼い主が愛情を持って飼育している証拠です。
「苦労してヤギ小屋を建てたんだ」「定期的に水をやったり、雑草以外の餌を与えているんだ」と苦労話を聞きましたが、なんだか楽しそうです。3匹のヤギを家族の一員として育てているように思えました。

後述もしますがヤギ除草にはいくつかのデメリットがあります。それを考慮すると除草目的のみでヤギを飼うことはおすすめできません。しかし除草効果や費用面、環境面などとは別次元の「マスコット効果」こそが最大のメリットであるように感じました。
個人でヤギを飼うことは大変ですが、二次的な効果を見込んで企業や自治体単位でヤギ除草を行うのは意義があるように思えます。
ヤギ除草のデメリット
残念ながら「草刈りをヤギに任せて楽ができる」ということはありません。草刈り以外の労力が必ず発生します。機械を保有するのとは違い、生物を飼育する様々な手間がデメリットです。
- 雑草以外の餌やりが必要
- 脱走対策としての柵の設置が必要
- 飼育小屋の建設が必要
- 野生動物からヤギを守る必要がある
- 病気や怪我への対応が必要
- 寿命がある
ヤギは意外とグルメな食性で雑草を選り好みするそうです。また生の雑草ばかりを与え続けると下痢や体調不良をおこすので、家畜用の干し草やミネラル補給のための岩塩などを与えなければなりません。
放牧中も、ヒモが繋がれたまま斜面で転落していないか、野生動物に襲われていないか、定期的に巡回しチェックすることも必要です。

機械もメンテナンスが重要ですが、それ以上に命あるものを飼育するのですから多くの手間が要求されます。
飼育の労力というデメリットを許容できないのであれば、草刈機による除草作業をおすすめします。


結論:ヤギ除草は効果があるがスピードが遅い
自治体の実験結果や実際に飼い主にも聞いて調べましたが、ヤギによる除草は「効果はあるがスピードが極端に遅い」という結論となりました。また飼育する労力もかかるので費用対効果を考えると、導入は考えものです。
しかしながら広い場所の除草はとても骨が折れる作業なので労力はかけたくない。そういった場合はプロの草刈り業者に除草作業を任せるのも一つの方法です。
草刈り110番 やくらしのマーケット などは全国的に展開しているサービスなので、依頼すれば現場まで急行してくれます。見積もりや問い合わせは無料なので、つらい草刈りに悩んでいる人はぜひ利用してみてください。

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防草シートの設置や、除草剤散布はプロにおまかせしましょう。



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ヤギのレンタルサービス
ヤギ除草はデメリットが多く、あまりおすすめはしません。しかし、それでも興味があるという人のためにヤギのレンタルサービスを紹介します。
今回取材を行なった現場では、牧場からヤギを購入してトラックで輸送してきたそうです。
ヤギの販売価格の相場はおおよそ6万円から10万円ほど。輸送費もかかるので15万円ほどと考えた方がよさそうです。
さらに飼育となると設備を充実させないとならないので、初期投資が数十万円になる場合もあります。
対してレンタルサービスは数万円の少額で利用することが可能。飼育用の設備などもあわせてレンタルできるサービスもあるようです。
各サービスごとに料金が変わりますので、それぞれ個別に問い合わせしてください。
- 福島県「かつらおヤギ広場 がらがらどん」
- 長野県「産直市場グリーンファーム」
- 静岡県「青葉農場」
- 愛知県「愛知ヤギ農場」
- 大阪府「ワールド牧場」
- 京都府「YAGI RENTAL」
- 熊本県「JO企画」